アイドル作家が語る「アイドルという物語」 第五弾は中井りか

WEB文芸界きっての「アイドル作家」板野かも先生が縦横無尽にアイドルの魅力を語り尽くす、「48ers」独占連載エッセイ「アイドルという物語」。
第五弾は、NGT48の「りか姫」こと中井りか。

SHOWROOMを通じて多数のファンとアンチを獲得してきたりか姫。週刊文春の報道も相まって炎上渦中の彼女の物語を、「敢えて今」語り尽くして頂きました。

▼中井りか(なかい・りか)プロフィール

公式ニックネーム りかちゃん、りか姫
所属事務所 太田プロダクション
生年月日 1997年8月23日 (20歳)
出身地 富山県
血液型 A型
身長、体重 156cm 40.4kg
合格期 1期生
選抜回数 NGT48 3回、AKB48 6回

選抜総選挙
第8回 96位(8,997票)
第9回 23位(29,953票)
第10回 37位(26,701票)

中井りか、焦土に立つ

 2018年7月、新潟・NGT48の新チーム公演が遂にスタートした。4月の単独コンサートで発表された新組閣にて、従来の研究生の全員昇格が決まると同時に、全メンバーがチームNIIIと新設のチームGに振り分けられることとなったNGT48。新公演の演目と並び、チームGのキャプテン及び副キャプテンの人事も初公演当日まで伏せられ、多くのファンの注目の的となっていた。
 しかし、チームGの劇場デビューに際し、演目やキャプテンの人選もさることながら、それに勝るとも劣らない衆目を集めていたのが「彼女」の動向であったことは否定できないだろう。未曾有の炎上の渦中にあった「彼女」は、果たして我々の前に元気な姿を見せてくれるのか――。ファンやメディアのみならず、アンチもまたそれを気にしていたのに違いない。
 そして、誰もが予想した通り、公演後には、本間日陽のチームGキャプテン就任の報と並び、彼女の名がネットニュースやまとめサイトの見出しを席巻することになった。NGTの話題を良くも悪くもかっさらう「問題児」。炎上アイドルの系譜を受け継ぐ我らがお姫様、りか姫こと中井りかである。

人生を懸けてアイドルの道へ

 2015年、NGT48の第一期生としてデビューした中井りか。かの苦労人・荻野由佳をはじめ、AKB48のオーディションやドラフト会議で辛酸を嘗めた少女達が幾人も集うNGTにあって、富山県出身の彼女もまた、チーム8の富山オーディションで一度は夢破れた経歴の持ち主だった。地元を出ることを親に猛反対される中、進路の選択を目前に控えた彼女が最後のチャンスとばかりに飛びついたのが、隣県・新潟で新たに発足するNGT48のオーディションだった。
 本人の談によれば、彼女は大学進学を左右する重要なテストを蹴ってNGTの中間審査を受け、さらに保育士になるための必須の試験を蹴って最終審査を受けたという。己の人生を惜しみなく賭けのチップとして投げ出せる者にこそ、運命の女神は微笑むのだろうか。退路を断つ賭けに勝ち、中井りかは選ばれし22名(ドラフトを加えて24名)の一員となった。しかし、スタッフもメンバーもファンも、そして彼女自身も、この時点では想像もできなかったに違いない。一人の県外出身者に過ぎなかった彼女が、後にNGTを揺るがす存在となることを。

SHOWROOM、それは彼女が得た炎

 自分はアイドルになるために生まれてきたと本気で信じていたに違いない中井だが、夢のアイドルデビューを果たしてからも、その前途は決して洋々とは言えなかった。今となっては信じられないことであるが、そもそも、発足当初のNGT48は不遇に次ぐ不遇の連続。劇場オープン、メジャーデビューと全ての予定が遅れに遅れ、NGTは始まる前から終わっているなどと揶揄される始末。そのNGTの中でも、重宝されるのは加藤美南や高倉萌香といった県内出身のメンバー、それに一足早く加入を決めていたドラフト組の西潟茉莉奈と荻野由佳らであり、中井にはなかなかチャンスの順番は回ってこないままだった。

 そんな彼女にとって大きな転機となったのが、2016年度選抜総選挙の期間限定企画として導入された、動画配信サービス「SHOWROOM」であった。メンバーが好きなタイミングでリアルタイムに動画を配信し、ファンと画面越しに交流できるというこのシステム。メンバーもファンも、下手をすると実施を決めた運営サイドさえも、当初はこんなものが何の役に立つのかと訝しんでいた。仮にもプロのアイドルが「生主」のような活動に身をやつすことへの反発も強かった。誰も気付いていなかったのだ。公演や握手会を介さず、アイドルとファンがいつでも生の時間を共有できるということの意味に。その秘めたる威力に。
 だが、機を見るに敏な一部のメンバーだけは、これが単なる総選挙前の余興の小道具で終わらないことを直感していた。長年、ジャニーズの追っかけとしてオタク側の心情をその身に染み込ませていた中井りかの脳裏にも、瞬間、稲妻が閃いたに違いない。あたかも原初の人類が初めて火を手にした瞬間のように。「これは何かに使える」――

 予感は当たった。ただアイドルの「本物」がそこにいるというだけで、ファンは何時間でも画面に貼り付く。最初は推しメンであってもなくても構わない。公演でレスを飛ばすよりも、握手会で笑顔を振りまくよりも、この方法ならばスマホ一つで多くのファンの心を一気に釣り上げることができる。憧れの渡辺美優紀が握手会でファンを増やしていったように、中井はこれを己の武器とすることを決めた。
 ようやく他のメンバーがその威力に気付き始める頃には、既にSHOWROOMにおける彼女の地位は盤石のものとなっていた。大先輩の柏木由紀や女王指原らにも大差を付け、遂に中井はポイントランキングの一位に輝く。新潟で開催されたこの年の総選挙で、NGT生え抜きからのランクインは加藤美南一人のみだったが、その戦果の裏で密かに怪物が産声を上げつつあった。僅か三ヶ月後には本店選抜への大抜擢を果たす、初代SHOWROOM女王の誕生である。

 その後、運営はSHOWROOMの常用化を決定。中井の躍進を目の当たりにして、多くのメンバーがそれに追随するようになり、SHOWROOMは一躍48グループのメインツールに成り上がった。翌年のSHOWROOM女王となったチーム8大西桃香や、今年の総選挙前に中井とベストバウトを繰り広げたSTU48福田朱里など、後を追う者は多く現れているが、SHOWROOMの可能性を初めに切り開いたパイオニアとしての中井りかの名は、48グループの歴史に残るエポックメイキングの一つとして今後も語り継がれることだろう。

 SHOWROOMというものが存在しなくても、中井はどこかでブレイクしていたかもしれない。だが、一度運営が決めたセンターがなかなか変わらない48グループの中で、中井が加藤美南や高倉萌香を差し置いてNGTのデビューシングル「青春時計」のセンターの座を掴みえたのは、ひとえにSHOWROOMによるファン獲得の功績によるところが大きいだろう。
 なればこそ、私は敢えて断言する。中井りかというアイドルは、この時代、このタイミングだからこそブレイクしえた存在であったと。SHOWROOMが導入される前でも、あるいは全メンバーのSHOWROOM利用が恒常化した後でも、彼女は今ほどの存在にはなれなかったのではないか。「誰もやっていないことを真っ先にやる」――それが出来るタイミングでアイドルとしてのスタートを切れたことは彼女にとって僥倖だった。そうした運命を引き寄せられる運の強さもまた、スターには必要不可欠なものかもしれない。

アンチを煽ってスターは燃える

 SHOWROOMと併せて語られる中井りかの得意技に「炎上」がある。配信を繰り返す中で、単なる小悪魔キャラのみならず「アンチとの戦い」さえも武器になると気付いた我らがりか姫は、いつしか積極的に炎上芸を使いこなして話題を作るようになっていった。「アンチが生まれてスターは育つ」とはよく言ったものだが、そのアンチの存在さえも食い物とし、あれよあれよという間に彼女は小悪魔から本物の悪魔へと変貌していった。
 総選挙23位への躍進、太田プロダクションへの移籍。明確に出世コースに乗るにつれ、それに比例して敵も増える。そして、増え続けるアンチの反発を燃料として、炎はさらに激しく燃え上がっていく。新潟から全国へ――ともすれば仲間達の羽ばたきよりも先に彼女の炎が届こうとは、一体誰が予想できただろうか。

 バラエティ番組への出演が増え、時としてNGTメンバー内部の不仲説など際どいネタでウケを取ることも増えてきた中井。口さがないアンチの中には、「中井はNGTのイメージを汚している」「NGTを脱退してソロで勝手にやれ」などと声を上げる者も少なくない。
 だが、彼女のような特異点の存在は、多彩な個性のひしめき合いを良しとするNGTにとって決してリスクばかりではないだろう。どこぞの本店の十何期かを引き合いに出すわけではないが、ただ可愛いだけの集団では個も全も引き立たない。王道が居るから邪道は存在を許され、邪道が居ればこそ王道もまた輝く。渡辺麻友と指原莉乃の関係になぞらえるには流石に貫目が足りないだろうが、加藤美南や高倉萌香らが居るからこそ中井りかの存在も許され、彼女のような悪魔が居るからこそ天使達もまた輝きを増すのだろう。その意味で、中井とNGTは一蓮托生であり、中井のいないNGTも、NGTのない中井も今となっては有り得ない。アンチからは異論もあるだろうが、本稿の筆者である前に一人のNGTファンとして、ひとまず私はそう断言しておく。

悪魔の逆襲はここから始まる?

 スキャンダルの一つや二つネタに出来ないで何が48グループメンバーか、という論調がある。今後の中井りかを語る上で避けて通れないのが、2018年度総選挙と前後して発覚した文春事案であろう。実は、総選挙直後に出すはずだったこの連載エッセイを今日までお待たせしてしまったのも、この件の推移を見守っていたからなのだが――7月5日現在において、中井は文春の報道内容を否定する立場を取っており、それに対する文春からの第二波攻撃も未だない。ほっと胸を撫で下ろすファン、批判の手を緩めないアンチ、その中で飄々とSHOWROOMを燃やし続ける中井りか。いつ続報があってもおかしくない状況ではあるが、ひとまず、一巻の終わりかと思われた炎上お姫様のアイドル人生は、多少強引にでも復旧ルートに回帰を果たしたと言えるだろう。

 今後、NGT内や48グループ内で、彼女の序列は上がるのか下がるのか。それを論じることは現時点では難しく、我々は時の審判を待つほかない。だが、仮に彼女の炎がこの先かき消えてしまうことがあったとしても、彼女がグループに、メンバーに、ファンに残した焦げ跡は消えてなくなるわけではない。数年後、どこかのグループに第二、第三の中井りかが爆誕したその時にこそ、我々は彼女がNGTに居たことの本当の意義を悟るのかもしれない。
 中井の存在は決して、電子の海に咲く一瞬の徒花では終わるまい。彼女の炎がどこまで燃え広がり続けるのか、そしてそれが未来の48グループに何を残すのか――。いつかこの「物語」の正解が出るその日を、我々は楽しみに待ち続けたい。

(文責 板野かも)

執筆者の紹介

板野かも

板野かも

作家・ライター。
AKB48グループをはじめとする女性アイドル関連の芸能記事を多く手がけ、また2017年よりWEB小説サイト「カクヨム」にてアイドルをテーマにした小説を執筆。WEB文芸界きってのアイドル通として知られる。

NGT48にも強い思い入れを持ち、NGTが未だ不遇をかこっていた2017年春には、NGTメンバーをモデルとした未来の新潟のアイドル達の奮戦を描いた小説「48million ~アイドル防災都市戦記~」を執筆。
2018年4月より、NGT48の誕生を描くドキュメンタリー小説「Project TOKI」をカクヨムにて連載、1000人を超えるNGTファンの注目を集める話題作となっている。

告知

現在、WEB小説サイト「カクヨム」にて、板野先生の執筆によるNGT48のドキュメンタリー小説「Project TOKI」が掲載中です。NGTファンの方は漏らさずチェック!

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